近刊案内
2024年7月3日
7月以降の近刊
障害をもつ人の「自立」と人権
学びと就労のために
8月上旬発売予定
小林 繁 著
A5判上製 256頁
定価2700円+税
ISBN978-4-7684-3603-5
著者が長年、障害をもつ人の学習文化支援に携わることによって実感した、社会とのつながりの重要性。本書ではその「つながり」を地域における就労として、就労の中で学び、学びながら働き続けることによって、互いの営みが活性していくと主張する。さらにその営みによって、地域の中での「自立」が真に可能になり、障害をもつ人の生活の質(QOL)と人権が担保されると考える。上記のような主張をもとに、障害をもつ人の人権と自立を支えるための概念、日本・世界における就労の実践を紹介。
【著者紹介】
小林 繁(こばやし・しげる)
明治大学文学部専任教授。専門は社会教育。主な著書に『現代社会教育/生涯学習と社会教育職員』(クレイン、2008年)、『障害をもつ人の学習権保障とノーマライゼーションの課題』(れんが書房新社、2010年)、『地域福祉と生涯学習』(編著、現代書館、2012年)など。
傍流の巨人 渋沢敬三
民俗と実業の昭和史
9月上旬発売予定
畑中章宏 著
四六判上製 224頁
予価2000円+税
ISBN978-4-7684-5962-1
宮本常一を支えた「巨人」の全貌に迫り、「オルタナティブ」のさらなる深みへ――
2024年6月「100分 de 名著」出演・畑中章宏氏最新作!
“日本資本主義の父”として名を馳せ、2024年7月3日より新一万円札の新しい顔となる
渋沢栄一の孫で事業の継承者、あるいは民俗学者・宮本常一の調査・研究上のパトロン――渋沢敬三(1896―1963)のイメージはこんなふうにだれかを通して思い描かれることが多い。日本民俗学に果たした役割の大きさにも関わらず、柳田国男や宮本常一の影に隠れて、その業績や仕事の意義にこれまで光を当てられてこなかった。
本書は、民俗学の学問的根拠は「オルタナティブ」にあると考える著者が、渋沢の思想と方法が持つ非主流性(傍流)に着目して描き出す、ユニークな評伝であり、昭和史である。
【著者紹介】
畑中章宏(はたなか・あきひろ)
民俗学者。1962年大阪府生まれ。近畿大学法学部卒業。災害伝承・民間信仰から、最新の風俗・流行現象まで幅広いテーマに取り組む。著書に『天災と日本人』『廃仏毀釈』(ちくま新書)、『柳田国男と今和次郎』『『日本残酷物語』を読む』(平凡社新書)、『災害と妖怪』『忘れられた日本憲法』(亜紀書房)、『21世紀の民俗学』(KADOKAWA)、『死者の民主主義』(トランスビュー)、『五輪と万博』(春秋社)、『宮本常一』(講談社現代新書)ほか。
最新刊は『100分de名著 宮本常一『忘れられた日本人』』(NHK出版)。
リプロダクティブ・ジャスティス
引き裂かれる性と生殖の権利
12月上旬発売予定
一般社団法人ふぇみ・ゼミ&カフェ 編
A5判並製 208頁
予価2000円+税
ISBN978-4-7684-5957-7
一般社団法人ふぇみ・ゼミ&カフェが2022年に開催した連続講座「引き裂かれる性と生殖の権利」の講演録を加筆・修正し、新たな内容を加えて書籍化。
「リプロダクティブ・ジャスティス=性と生殖の正義と公正」は、90 年代からアメリカの黒人フェミニストやセクシュアリティが掲げてきた。性と生殖の権利を語る時、例えば貧困層や移民、人種的マイノリティの女性たちの権利は周縁に追いやられ、そこにはジェンダー以外にも様々な差別があることを見落としてはならないというインターセクショナリティ(差別の交差性)の指摘であり、@子どもを持たない権利、A子どもを持つ権利、B安全で健康な環境で、子どもの親になる権利を要求してきた。さらにセクシュアル・マイノリティやセックスワーカーの経験から性的自己決定権及びジェンダーの自由も重要だとされる。これまでの議論の中で見落とされ、「つけ加え」として扱われてきた人たちの経験から、日本で生きる私たちにとってのリプロダクティブ・ジャスティスを問い返すものである。
【著者紹介】
ジェンダーと多様性についての一般向け講座を開催する「ふぇみ・ゼミ」(2017年設立) と、ジェンダーと様々なテーマをつなぐアート&カルチャーの公演やイベントを開催する 「ゆる・ふぇみカフェ」(2014年設立)が共同で設立した非営利型一般社団法人。 差別の交差性(インターセクショナリティ)の視点に立って、@講座、公演、展示などの企画・開催A若い世代の研究者、アクティビスト、アーティストの育成B調査研究と提言活動などを行っている。