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インクルーシブ教育の源流

インクルーシブ教育の源流――1970年代の豊中市における原学級保障運動

装幀 奧冨佳津枝

二見 妙子 著
判型
四六判 上製 216ページ
定価
2000円+税
ISBN978-4-7684-3554-0

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障害の有無にかかわらず地域の幼保育園・学校で共に育ち学ぶ機会の保障をしてきた豊中の二重籍(障害児学級に在籍しながら、全時間普通学級で過ごし、障害児学級担任も普通学級に副担として入る)の取組みを障害学の視点から分析。

[著者紹介・編集担当者より]
著者の二見さんは公立小中学校教員時代に「共に生きる教育」の運動実践に参加。その後、熊本学園大学大学院社会福祉学研究科博士後期課程で学び、本書の基となる博士論文を執筆し社会福祉学博士。現在 福岡県立大学人間社会学部助教。
大阪や兵庫など、部落解放教育による人権教育の土台のあるところでは、人的配置の確保のために二重籍方式がとられ、籍は障害児学級でも実際の授業・活動は普通学級で行うという実をとる方法がとられてきた。しかし、構造的には籍で分けており、そこの障壁に気づかないと根源的な矛盾が見えてこない。その点をめぐる当時の豊中教組の論争は、インクルーシブ教育の本質の議論であり、今日的意義がある。


【目次】
序 章  問題意識と研究方法
 第一節 問題意識と研究課題
 第二節 分析枠組
 第三節 インタビュー調査の概要
 第四節 先行研究の検討

第一章  日本教職員組合障害児教育運動(敗戦〜一九七〇年代初頭)の構造
 第一節 障害児を分離する教育
 第二節 障害児の分離教育を促進する議論
 第三節 就学猶予・免除解消運動の議論(一九六〇年代後半〜)
 第四節 矛盾

第二章  豊中市における「ひろがり学級」設置前の運動(一九五〇年代〜一九七一年)の展開と戦略
 第一節 豊中市の障害児教育の独自性
 第二節 「ひろがり学級」設置の運動前の豊中市教職員組合における障害児教育運動
 第三節 「ひろがり学級」設置の運動前の豊中市における同和教育運動(一九五〇年代〜一九七〇年代初頭)
 第四節 豊中市同和教育基本方針に障害児教育の項を挿入(一九七一年)

第三章  「ひろがり学級」設置の運動(一九七二年〜一九七三年)
 第一節 自らの無知への気づきと運動への決意
 第二節 相互に影響し発展する教組運動と親の運動
 第三節 「就学猶予・免除願」の返還
 第四節 すべての子どもの就学を求めて
 第五節 「ひろがり学級」開設直後の議論
 第六節 〈環境の障壁〉を除去する取り組みによる〈態度の障壁〉の除去

第四章  障害児の優先入園(所)運動の展開過程と保母加配の両義性
 第一節 優先入園(所)を求める運動の展開過程とその区分
 第二節 第一期 豊中市障問研の発足
 第三節 第二期 幼稚園における運動の特徴と加配教員(保母)をめぐる議論
 第四節 第三期 保育所における運動の特徴と加配保母をめぐる議論
 第五節 第四期 優先入所制度化後の運動と加配保母をめぐる議論
 第六節 〈環境の障壁〉除去の戦略による〈態度の障壁〉の除去

第五章  「校区の学校へ子どもを帰す」運動の第四章障害児の優先入園(所)運動の展開過程と保母加配の両義性
 第一節 「校区の学校へ子どもを帰す」運動(一九七四年〜)
 第二節 現場の実践者による校区校への就学促進
 第三節 市議会における運動に対する批判の意味

第六章  北丘小学校の実践(一九七二年〜一九七九年)に見る〈態度の障壁〉の変容
 第一節 豊中市の運動における北丘小学校の実践の位置
 第二節 Kと母親が北丘小学校の普通学級入学を決意するまで
 第三節 K入学前の北丘小学校における障害児教育に関する議論
 第四節 Kと共に変化する北丘小学校(職員集団の変化)
 第五節 「けんか」のできる子ども関係の育ち

第七章  豊中市障害児教育基本方針策定の経緯と意義
 第一節 大阪・一五教職員組合(単組)連絡会による障害児教育運動の方向転換
 第二節 障害児学級をめぐる議論が意味するもの
 第三節 豊中市障害児教育基本方針の特徴
 第四節 豊中市障害児教育基本方針策定の意義
 第六章北丘小学校の実践(一九七二年〜一九七九年)に見る

終 章  豊中市の障害児教育運動が向き合った障壁とその除去のための戦略
 第一節 「障壁モデル」と運動の視点
 第二節 豊中市の運動が採用した戦略の有効性 〈環境の障壁〉を直接除去し「態度」を変え「政治」を変える
 第三節 戦略の今日的課題
 第四節 インクルーシブ教育運動を活性化する要因

注 

引用文献及び参考文献一覧 

あとがき


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